架空小説について。
つかささんが選んだお題となる写真をページに使うことが大前提なのですが、小説の内容ももちろん写真に沿ったものにする必要があって、内容を固めるのに手こずりました……。
着想まで
いただいた3枚のお題写真は、汚い路地裏・霧の中の線路・湖畔の3枚。どれも屋外の写真ですが、霧のせいかどこか閉塞感がただよいます。
当初は3枚とも使うつもりだったので、「街から出て線路を通って湖畔へ行く物語」をとっかかりに話をふくらませました。
ちなみに「雫」は霧からイメージしています。
『雫をまとった像の冠』
トップページのあらすじにある通りの、特殊な治療をしているサナトリウムが舞台のお話です。一応「霧に閉ざされた場所」です。
患者はカプセルの中で長期の眠りにつきます。
そのあいだ、意識だけの存在である「プシュケ」が身体を動かして生活をし、健康な状態へ戻していきます。
苦い薬も、面倒な検査も、患者からすれば「眠っているあいだの出来事」で、意識だけのプシュケたちはいわば「自制生活のプロ」みたいな感じです。
サナトリウムは清潔で真っ白な世界ですが、その下界となる下町は薄汚れていて、メインの写真はその下町をイメージしています。
最初のほうは、臓器移植して……という外科的な手段で考えてたんですが、ハンデが大きすぎるのでやめました。
最高級の象牙を持つ少年
お見舞いが禁止されているサナトリウムに、見舞い客が来る話。
彼女は追っ手から逃げて下町に隠れ、背中から角を生やした少年と出会う。
その臓器を育ててあげる
下町で暮らす普通の少年のところに、サナトリウムの女の子がやってくる。
でも中身は、よく話し相手をしているプシュケ。先週までは男だったのに、今は女の身体でいる。
ひとつの像に冠を戴く
サナトリウムから脱走を試みる女の子の話(1ページ目冒頭のもの)
いくつもの身体を渡り、どんなに成果をあげても、プシュケは冠を載せる頭を持たない。
私たちと彼らのはなし
番外編とか置くのにいいかなと思って適当に作りました。
(写真が使いたかっただけ……)